機械工学科卒業 岩堀圭吾さん
高専の5年間が、すべての原点。
オリンピック中継やグラミー賞の授賞式、アーティストのコンサートなど、世界の名だたる舞台で愛されている『オーディオテクニカ』の音響機器。同社の性能への信頼性は高く、国内外に大きなシェアを持つ。その製品の開発・製造を担う部門が、越前市の『オーディオテクニカフクイ』だ。技術部で設計職を務める岩堀さんは、2017年3月、難関の国家資格「技術士(機械部門)」を取得した。
機械工学科(2006年卒)
株式会社オーディオテクニカフクイ 技術部技術課
Q.『オーディオテクニカフクイ』に入社した理由は?
私は高専時代に吹奏楽部でサックスを演奏していたので、マイクやヘッドホンなど、音楽に関係した事業という点が興味を持ったきっかけでした。入社を志望したのは、インターンシップでの経験が大きいですね。当社はメーカーの開発拠点なので、性能評価のための実験設備が充実しており、最新の音響機器を開発できる環境があります。ここなら技術職として、好きな分野で魅力のある仕事ができる!と思いました。
Q.どんな仕事をしていますか?
おもにスピーカーやカラオケ設備などの外装部分を手がける「筐体(きょうたい)設計」を担当しています。“商品の顔”になる部分を設計していると言えますね。製品設計は機能を最大限に生かし、ユーザーにとって使いやすい形を考えることが重要ですが、一方で製造コストが過剰にならないよう、できるだけシンプルなプロセスで作れることも考えないといけません。設計者としての自分の想いを注ぎ込みながら、現実的な課題とのバランスをとっていくことが求められます。ここは本当に知恵の絞りどころです。電気の力で動く製品は電気など幅広い分野の知識が必要になるので、機械工学科で学んだ知識だけでなく、いろいろなことを学びながら経験を積み、自分のなかの引き出しを増やしてきた感じですね。
Q.技術士(機械部門)を取得しようと思ったのはどうして?
技術士(機械部門)は日本で5500人ほどしかいない難関試験のひとつで、若手で挑戦する人は少ないと言われています。きっかけは、中堅社員として後輩の指導を任される立場になったことです。改めて知識を学び直し、より深く理解することで、技術職としてのステップアップと指導スキルを磨きたいと思いました。資格取得の勉強を通じて感じたのは、高専時代の学びが今の自分の原点になっているという実感でした。あの5年間の学びがあったからこそ、仕事でいろいろな応用を考えていける基礎が作られたのかなと思います。
Q.岩堀さんが思う、高専で勉強することの魅力とは?
高専は5年間で技術職に必要な基礎知識が学べ、20歳で社会に出ることができます。若いうちから学んだことを実践できる機会を得られるので、経験がものをいう技術職としてはアドバンテージがあると思います。
私は現在、高専の後輩たちの卒業研究に設計面からのアドバイスを行っています。みんな打てば響くように物事の吸収が早いので、自分もいい刺激を受けています。実習などの課題に取り組む機会も多いので、学生同士も先生も仲がよく、卒業しても高専OBのつながりは強いと思います。先生方も個性が強く、特徴のある授業をする方が多いですよね。そこも楽しく学びながら成長できる、ひとつの理由なのではないかと思います。