入試情報

電気電子工学科卒業 南部龍之介さん

高専仕込みのチャレンジ精神を鉄塔建設に生かす。

電力は社会の生命線とも呼べる、重要なインフラだ。発電所で生み出された電気は変電所で少しづつ電圧を下げていき、柱上変圧器(電信柱)を経て私たちの家庭に届けられる。南部さんが所属する『北陸電力』の送電工事チームは、電気を各地へと分配するための送電線の建設を担当。地域に安定した電気を届ける、送電の大動脈の担い手だ。

南部龍之介さん
電気電子工学科(2011年卒)
北陸電力株式会社 技術部 送電工事チーム

Q.『北陸電力』に入社した理由は?

高専で学んだことを生かして、ものづくりに関わる選択肢もありましたが、私が興味を持ったのは「電力」という社会のインフラ。生活や産業のもとになる、社会に欠かせないものを支える仕事に関わりたいと思いました。地元で働くことを希望していたので、地域密着かつ地域の役に立つ安定した事業という点も魅力でした。

Q.どんな仕事をしていますか?

送電工事チームは発電所から変電所に電気を送る鉄塔(送電線)の新規建設、老朽化による建て替えを行っており、鉄塔建設の設計から工事監理、完成検査までを担当。以降の保守・補修は送電課が担当します。検査では実際に鉄塔に登り、ボルトの緩みがないか、鉄骨が設計通りに組まれているかなどを確認します。鉄塔はだいたい40~60m、大きいものだと100m以上になります。地上50mくらいでの高所作業になりますが、しっかり検査しなければという責任の方がよほど緊張感がありますね。

Q.やりがいを感じるのはどんなとき?

皆さんの目には同じように見える鉄塔ですが、実は一つひとつ綿密な設計のもとで建設されています。鉄塔を設置する場所の地質や送電線の張り方など、さまざまな条件を考慮しながら仕様が決定されているんですよ。技術的なことはもちろん、建設地の地主さんや周辺の住民の方々、行政など、スムーズに建設するためには外部との交渉や情報共有を密に行うことも重要な仕事です。
送電用の鉄塔は法律規制の条件が厳しいので、図面に向き合っている時は本当に悩みます。しかし、この突き詰める時間があるからこそ課題をクリアする形が見えてくるので、粘り強く取り組むように心がけています。自分が造るのは、電気を届けるという社会に欠かせない役割を持つ施設。それを自分の手で造れることが、何よりのやりがいですから。

Q.高専時代の経験はどんな場面で生きている?

私は高専時代にいろいろな活動やプロジェクトに参加してきました。小学校での出張授業のアシスタント、ソーラーカーのプロジェクトなど、学科の枠にとらわれず興味のあることには積極的に参加しました。高専は普通の高校と違って外部との関わりが多く、課題やさまざまな活動を通じて問題解決に取り組む経験ができます。ときには壁にぶつかることもありましたが、まずやってみよう、行動してみようという気持ちで取り組む姿勢が身に付いたと思います。
技術的ことは仕事をしながら覚えていけるので、学んだ分野と仕事に必要な知識が違うことは、さほど悩むことではありません。難しい問題にも前向きに挑めるかどうかという意識のほうが大事ですね。そういう意味でも、高専での経験で得た姿勢はいろいろな場面で生かされていると感じます。